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【経口ステロイド】 副作用と発生頻度

副腎皮質ステロイドは抗炎症作用と免疫抑制作用を期待して、様々な疾患に使用されるお薬です。
急性疾患から慢性疾患まで幅広く使用され、処方箋から処方意図や適正量を読み解くことが難しいお薬です。
また、高用量や長期服用では副作用が心配になりますよね。
今回は主な副作用に関して、患者様にどのように服薬指導をしたらいいのか
どれくらいのリスクが有るのか、その目安となるように服用量や服用期間をまとめたいと思います。

経口ステロイドの主な副作用

感染症

PSL(プレドニゾロン)換算で20〜40mg/日以上の服用で日和見感染や重篤な肺炎のリスクが高まる。
20mg/日未満でも投与期間が長く、総投与量が多くなるほど発生頻度は増える
1ヶ月近く服用を継続している場合は注意が必要

続発性副腎皮質機能不全

PSL換算で10mg/日以上を3年間以上投与
もしくは総投与量が1500〜7000mgの場合には、ほぼ全例で視床下部、下垂体の抑制が起こるとされる
40mg未満のPSLを1日1回の投与5日間であれば副腎皮質の機能低下はほぼ無いとの報告あり
2週間程度服用すると、体内で作るステロイドが減少してくるとのデータあり
通常、体内ではコルチゾールとして5〜10mgのステロイドが作られると言われている
【症状:発熱、頭痛、食欲不振、悪心、全身倦怠感、血圧低下、体重減少、筋・関節痛 など】

高血糖・糖尿病

35歳以上の患者が発症するリスクは、ヒドロコルチゾン換算で40mg/日未満で1.8倍
40〜70mg/日で3.0倍とされる
血糖値は投与後2〜3時間から上昇し、約5〜8時間後にピークとなる
肝臓の疾患がある患者や再生不良性貧血の疾患がある場合は少量でも早期発症のリスクが上がる
口の乾きや多飲、多尿、体重減少が突然起きた場合は受診勧告

脂質異常症・動脈硬化

PSL投与後48時間で血中脂肪濃度は上昇し、2〜3ヶ月後には満月様顔貌などの中心性肥満が観察される
PSL7.5mg/日以上では、心血管イベントの発生リスクが2・56倍に上昇
クッシング症候群を呈した患者では、何らかの心血管イベントの発生確率が上昇

血圧上昇

服用後1〜4週間で徐々に上がることが多い、減量でもとに戻る
高血圧の発症頻度は20%前後

骨粗鬆症・骨壊死

PSL換算で2.5mg/日以上投与し、3〜6ヶ月で骨折リスクはピークに達するとされる
1ヶ月以上治療を行っている場合は骨や関節の痛みに注意が必要

精神変調・不眠

投与開始もしくは増量から2〜3週間以内に生じるとされる
PSL換算で40mg/日が1つの目安。
この量を超えると発生頻度は数倍〜十数倍に上昇
【症状:イライラ、不眠、落ち込み、意欲低下 など】

緑内障

眼圧上昇は用量依存性
高齢者はPSL40mg/日以上
小児では30mg/日以上で発症する可能性高い

白内障

PSL換算で成人は10〜15mg/日
小児では1〜3mg/日を6ヶ月間豊すると頻度が上昇
小児では2〜3ヶ月で発症するケースあり

ムーンフェイス(満月様顔貌)

PSL換算で中等量以上服用するとほぼ必発
投与開始3〜4週目で現れ初めて、減量し始めて3ヶ月くらいが最も顕著
減量して10mg/日程度になるとほとんど目立たなくなる
服用中止後100日前後でもとに戻ると言われている

予後不良な副作用

主な副作用を紹介してきたが、その中でも特に発見しにくく、予後も不良となる恐れがある副作用があるので紹介します。
●感染症
●骨粗鬆症
これら2つの副作用は注意が必要です

感染症は経口ステロイドの量が増えるほど発生頻度が高まります。
PSL(プレドニゾロン)換算で20mg/日以上になると免疫力が低下し日和見感染や肺炎が起きやすくなります。
ただし、20mg/日未満でも投与期間が長くなり、総投与量が多くなると免疫力が落ちやすくなるので中止が必要です。
1ヶ月近く服用を継続している場合は免疫力の低下に注意が必要です
またステロイドの服用中は炎症が起こっている事が分かりにくくなるため、発見が遅れることがあるので重症化しやすいと言われている。
肺炎以外にも帯状疱疹や口内炎を発症することがある。うがいや手洗い、マスクの着用を指導するようにしてください。

ステロイドによる骨粗鬆症の副作用では骨密度だけでなく、骨強度の低下も同時に発症すると言われています。
そのため、骨密度が高くても骨折するケースもあるようなので注意が必要です。
PSL換算で2.5mg/日以上を3-6ヶ月で骨折リスクはピークとなる。
少量でも発現しやすい副作用です。特に高齢で女性の患者様の服用している場合は注意してください。
1ヶ月以上ステロイドを服用している患者様は骨壊死などのリスクが増えると言われています。
鼠径部の痛みなど出るようなら受診するよう指導が必要です。
「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン」などでリスクをスコア化しているので
必要に応じて活用してみてもいいかもしれません。

服用直後から起きる副作用

経口ステロイドの副作用は数週間程度なら副作用の心配はないと考えられがちですが、
実際には服用直後から体への変化は起きていると言われています。
●興奮による不眠
●血糖、血圧の上昇
これらの症状は服用直後から発現する可能性があると言われています。
不眠の場合は必要に応じて睡眠薬の提案や、服用時間を早いタイミングにするなどの服薬指導。
糖尿病患者様には通常の服薬では血糖値がコントロール不良となる可能性があるので、
その説明と間食を控えるなどの食事指導も必要であれば行いましょう。
また、デキサメタゾンやベタメタゾンの経口ステロイドでは血糖の上昇効果が2〜3日持続すると言われています。

まとめ

経口ステロイドは強力な高専症効果を持ち、多くの疾患に使われるお薬です。
強力な反面、使い方によっては強い副作用が起きることがあります。
どの程度のステロイドをどの程度使用していくと、どのような副作用が発現するのか、
そのリスクはどれくらいあるのかを把握することで、
患者様により安心して服用してもらうことができます。
また、副作用の発現とリスクに関して学ぶことで、投薬する薬剤師も安心してお薬の説明することができるようになります。
患者様もステロイドというお薬にネガティブなイメージを持つ人は少なくないです。
そのためか、薬剤師も投薬に苦手意識がある人が多いお薬ですが、しっかり勉強して副作用を管理できるようになりましょう。

  • この記事を書いた人

KUSURIno

お薬のキュレーションサイト「薬剤師1年目の教科書」を運営。 保険調剤薬局で働く現役薬剤師が薬のことをもっと分かりやすく、実用的な知識として解説します。

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