過活動膀胱症候群(OAB)という病気があります。
尿意切迫感を必須とした症状症候群で、通常は頻尿や夜間頻尿を伴う症状です。
尿失禁の有無はあまり関係ないようで
尿失禁を伴うOAB‐wetと尿失禁を伴わないOAB-dry
の2つのパターンに大別されるそうです。
今回はこれらの症状に使うお薬について標を用いいてまとめようと思います。
主な治療薬
| 一般名 | 用法・用量 | 推奨グレード | |
| β3受容体遮断薬 | ミラべクロン(ベタニス) | 1回50mgを1日1回食後に投与 | A |
| β3受容体遮断薬 | ビベグロン(べオーバ) | 1回50mgを1日1回食後に投与 | A |
| 抗コリン薬 | オキシブチニン塩酸塩(ポラキス) | 1回2〜3mgを1日3回投与 | B |
| 抗コリン薬 | オキシブチニン経皮吸収型 (ネオキシテープ) |
1日1回1枚を下腹部、腰部または大腿部のいずれかに貼付 | A |
| 抗コリン薬 | プロピベリン塩酸塩(バップフォー) | 1回20mgを1日1回投与 1回20mg1日2回まで増量可能 |
A |
| 抗コリン薬 | トルテロジン酒石酸塩 (デトルシトール) |
1回4mgを1日1回投与 | A |
| 抗コリン薬 | コハク酸ソリフェナシン (ベシケア) |
1回5mgを1日1回投与 1回10mgまで増量可能 |
A |
| 抗コリン薬 | イミダフェナシン (ウリトス、ステーブラ) |
1回0.1mgを1日2回朝夕食後に投与 1回0.2mg1日2回まで増量可能 |
A |
| 抗コリン薬 | フェソテロジンフマル酸塩 (トピエース) |
1回4mgを1日1回投与 1回8mgまで増量可能 |
A |
| 抗コリン薬 | プロパンテリン臭化物 (プロ・バンサイン) |
1回15mgを1日3〜4回投与 | C1 |
推奨グレードA:行うように強く勧められる
推奨グレードB:行うように勧められる
推奨グレードC:行うよう勧められるだけの根拠がない
推奨グレードC1:行っても良い
過活動膀胱における薬物療法は
男女に分けて方針を立てて、治療薬を選択します。
女性の場合
女性の場合は
・ベタニス
・べオーバ
・ベシケア
・ウリトス、ステーブラ
を単独で投与するそうです。
過活動膀胱に加えて
・排尿遅延
・腹圧排尿
・尿勢低下
・尿線途絶
のような排尿症状があるよう場合は、
抗コリン薬は低用量から始める必要があります。
特に高齢者では尿閉のリスクが上がる為、注意が必要です。
男性の場合
男性の場合は50歳前後で選択する薬剤が異なってくるそうです。
50歳未満の場合は神経疾患や前立腺炎の合併を疑い、治療を行います。
50歳以上では前立腺肥大症の合併症を疑い、α1遮断薬やホスホジエステラーゼ5阻害薬などを
第一選択薬として使用します。
両者とも過活動膀胱の適応はないため、まずは前立腺肥大の治療を優先することとなるようです。
これらの前立腺肥大の治療を4〜8週間ほど投与しても症状が残存する場合にβ3受容体作動薬や
抗コリン薬を追加するそうです。
なお、前立腺肥大の患者様では排尿困難を増悪し、尿閉のリスクがあるため
慎重に投与する必要があります。
前立腺肥大症のない男性患者では、女性と同じようにβ3受容体作動薬単独や抗コリン薬単独、
もしくは併用を服用していきます。
| 前立腺肥大症に合併する過活動膀胱の併用療法 | |
| 薬剤名 | 推奨グレード |
| α1遮断薬+抗コリン薬 | A |
| α1遮断薬+5α還元酵素阻害薬 | A |
| α1遮断薬+β3受容体作動薬 | ミラべクロン(ベタニス):A |
| α1遮断薬+β3受容体作動薬 | ビべクロン(べオーバ):C1 |
| α1遮断薬+PDE5阻害薬 | C1 |
| 5α還元酵素阻害薬+抗コリン薬 | C1 |
| PDE5阻害薬+β3受容体作動薬 | ミラべクロン(ベタニス):B ※エキスパートオピニオンに基づく |
| PDE5阻害薬+β3受容体作動薬 | ビベクロン(べオーバ):C1 ※エキスパートオピニオンに基づく |
| PDE5阻害薬+抗コリン薬 | C1 ※エキスパートオピニオンに基づく |
まとめ
今回は過活動膀胱の治療薬についてまとめました。
女性と男性で選択する治療薬が変化するため注意が必要です。
また、男性では50歳を境に、前立腺肥大症による影響も考えたお薬の選択が必要です。
患者様はどのような症状で薬を服用しているのか、選択されているお薬は正しいのか
しっかり把握してお薬の説明をしましょう。
参考文献
過活動膀胱ガイドライン2022