構成生薬
| 生薬名 | 効果 |
| 当帰(トウキ) | 補血 鎮痛 理血 潤調作用 |
| 柴胡(サイコ) | 解熱 消炎 鎮痛 鎮静 |
| 黄芩(オウゴン) | 緩下 抗炎症 解熱 止血 |
| 甘草(カンゾウ) | 緩和作用 止瀉作用 止痛作用 |
| 大黄(ダイオウ) | 瀉下 利胆 消炎 健胃 |
| 升麻(ショウマ) | 解熱 発汗 |
各会社によって構成生薬の配合比率が異なるので注意して下さい。
(配合比は違いますが、同じような効果を示すと言われています)
乙字湯はメーカーごとに2パターンの違いがあるようです。
ツムラの乙字湯のみ構成生薬が異なっていました。
大黄、升麻が少ないため、漢方でお腹が痛くなる人にも使いやすくなっていると考えられます。
医師によってはこの患者さんの症状に合わせて漢方薬を使い分けている場合があるので注意しましょう
販売製薬会社(医療用)と効能効果
乙字湯の効能効果はメーカー事に違いが有るようです。
| 本草、太虎堂、ジュンコウ、クラシエ、オースギ | 大便がかたくて便秘傾向のあるものの次の諸症: 痔核(いぼ痔)、きれ痔、便秘 |
| 三和 | 便秘がちで局所に痛みがあり、時に少量の出血があるものの次の諸症: 一般痔疾、痔核、脱肛、肛門出血、女子陰部瘙痒症 |
| ツムラ | 病状がそれほど激しくなく、体力が中位で衰弱していないものの次の諸症: キレ痔、イボ痔 |
| コタロー | 痔核、脱肛、肛門出血、痔疾の疼痛。 |
メーカーごとの味や剤形、特徴についてまとめます。
| メーカー | 味 | 剤形 | その他の特徴 |
| 本草 | 初めわずかに甘く後にわずかに苦い | 顆粒 | |
| 太虎堂 | 甘苦い | 顆粒 | |
| ジュンコウ | 甘い | 細粒 | |
| クラシエ | わずかに甘く苦い | 細粒 | 分2の包装と分3の包装あり |
| オースギ | 初めわずかに甘く後にわずかに苦い | 顆粒 | |
| 三和 | 苦く、やや甘い | 細粒 | |
| ツムラ | 甘い | 顆粒 | 構成生薬が違う |
| コタロー | 甘苦い | 細粒 |
以上8種類(8社)の乙字湯があります。
各メーカーさんによって微妙な適応の違いがあるようです。
基本的には肛門周囲の症状に使用します。
味は全メーカーとも甘みのある漢方薬となっています。
味を気にする患者様は多いですので、すぐに確認できるようにしましょう。
・特徴と使い方
漢方では肛門付近で血が滞っている状態が続くと痔となると考えられています。
乙字湯は滞っている血の巡りを良くする事で症状を改善します。
抗炎症作用やストレスを抑制する「柴胡」や「黄芩」を含有し、「当帰」は冷えを改善します。「升麻」は昇堤(しょうてい)作用という下がった物を持ち上げる効果を持つと言われています。
それにより脱肛や子宮下垂など下がった臓器を上に持ち上げ症状を改善すると言われています
そのため、乙字湯は、軽症の痔核の疼痛、痔出血、肛門裂傷、初期で軽症の脱肛に用いられます。ですが、少量の「大黄」を含むため、服用後に腹痛を伴う下痢を起こす方には不向きとされています。
ですが「大黄」は少量なので、通常でしたら消化管の蠕動運動を更新して便秘の解消や肛門周囲の血流改善を行うと言われています。
乙字湯を飲むことで便の状態や排便回数の改善がみられ、その結果、痔症状の改善につながったという報告もあります。
また、痛みや出血に関しては大きな有意差は見られなかったようですが、症状の軽減する効果はあるようです。
まとめ
個人的にはあまり調剤することはなく、マイナーな漢方薬の印象でした。
ですが、調べてみるとかなりシンプルな漢方薬で、消炎効果や鎮痛効果に合わせて
便の状態や排便習慣の変化を促す漢方薬だなという印象を受けました。
症状の治療と並行して、体質も改善していくという漢方らしい漢方薬だと思います。
生薬の一つ一つを勉強していくことで漢方薬の全体像を知ることができました。
患者様が服薬したくなるような指導をしていけるよう、
広く深い知識を蓄えていきましょう。
参考にさせて頂いた資料&ホームページ
乙字湯 添付文書各種
https://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
http://www.halph.gr.jp/
https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal_medicine/2020/073.html
https://www.kampo-s.jp/web_magazine/back_number/153/kaisetsu-153.htm
https://www.kamponavi.com/med/962
https://kano-watanabe.jp/kanowatacolumn/hemo/
https://www.philkampo.com/pdf/phil74/phil74-05.pdf