漢方薬

【漢方薬12】柴胡加竜骨牡蛎湯の特徴と考え方

構成生薬

生薬名 効果
柴胡(サイコ) 解熱作用  消炎作用  鎮痛作用  鎮静作用 
半夏(ハンゲ) 鎮吐作用  去痰作用  平喘作用
茯苓(ブクリョウ) 利尿作用  鎮静作用  健胃作用  対めまい作用 
桂皮(ケイヒ)  発汗作用  発散作用  健胃作用  のぼせを治す作用  鎮痛作用  解熱作用
黄芩(オウゴン)  解熱作用  消炎作用  止血作用
大棗(タイソウ) 補脾胃作用  強壮作用  養血安神作用  緩和薬性作用  鎮静作用
人参(ニンジン)  興奮作用  強壮作用  強精作用 
竜骨(リュウコツ)  鎮静作用  収斂作用  止血作用
牡蠣(ボレイ) 鎮静作用  収斂作用  制酸作用  止汗作用
生姜(ショウキョウ)  発散作用  健胃作用  鎮吐・鎮嘔作用  食欲不振作用  鎮咳作用
大黄(ダイオウ) 瀉下作用  利胆作用  消炎作用  健胃作用

柴胡加竜骨牡蛎湯は8社販売しています。
各メーカーによって構成生薬の配合比率が異なるので注意が必要です。

柴胡加竜骨牡蛎湯は11種類の生薬から構成される漢方薬となります。
ツムラ製薬の柴胡加竜骨牡蛎湯のみ大黄(ダイオウ)が含まれていない構成となっています。

またクラシエ製薬から錠剤の販売もある為、細粒や顆粒剤が苦手という患者様には
錠剤へ変更することも検討しても良いかもしれません。

販売製薬会社(医療用)と効能効果

柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果は添付文書によると

精神不安があって、どうき、不眠などを伴う次の諸症:
高血圧の随伴症状(どうき、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜なき

となっています。
コタローとツムラが若干異なり

コタロー
精神不安があって驚きやすく、心悸亢進、胸内苦悶、めまい、のぼせ、不眠などを伴い、
あるいは臍部周辺に動悸を自覚し、みぞおちがつかえて便秘し、尿量減少するもの。
動脈硬化、高血圧、腎臓病、不眠症、神経性心悸亢進、心臓衰弱、テンカン、小児夜啼症、更年期神経症、陰萎、神経症。

ツムラ
比較的体力があり、心悸亢進、不眠、いらだち等の精神症状のあるものの次の諸症:
高血圧症、動脈硬化症、慢性腎臓病、神経衰弱症、神経性心悸亢進症、てんかん、ヒステリー、小児夜啼症、陰萎血の道症(ちのみちしょう)

となっており
上記2社は適応範囲がより広く、適応症が明確となっています。

メーカーごとの味や剤形、特徴についてまとめます。

メーカー 剤形 その他の特徴
JPS わずかに苦い 顆粒 生姜:0.8g
オースギ 辛く、やや苦い 顆粒  
クラシエ わずかに甘く苦い 細粒

生姜:0.8g
錠剤あり

コタロー やや苦い 細粒 生姜:0.7g
ジュンコウ わずかに苦く後にやや辛い 細粒  
ツムラ わずかに苦い 顆粒 大黄なし
太虎堂 わずかに苦い 顆粒 生姜:0.8g
本草 初めやや甘く、後にやや苦い 顆粒  

以上9種類(8社)の柴胡加竜骨牡蛎湯があります。
メーカーさんによっては、生姜の量が異なるようです。
また、ツムラさんの柴胡加竜骨牡蛎湯は大黄が含まれていません。
インタビューフォームによると
大黄は便秘がなくても本方の適応する証が多いために除かれている
との記載がありました。

クラシエさんより錠剤の販売があります。
細粒や顆粒剤が苦手とい患者様の選択肢になるかと思われます。

また、苦味が特徴的な漢方薬です。
苦味は特にコンプライアンスの低下につながる患者様は多いですので、
そういった患者様にも錠剤は紹介しやすい漢方薬となります。

・特徴と使い方

柴胡加竜骨牡蛎湯は小柴胡湯に類似した漢方薬と言えます。
「柴胡剤」と言われる漢方薬で、主に胃からへその上辺りの部分に起こる症状を改善すると言われています。

比較的体格はがっちり、体力普通以上あるが、気が弱く小さな事でドキドキしたり、眠れなくなってしまう人に処方されます。
小柴胡湯に比べると精神神経症状を伴う人を対象としています。

・驚きやすい
・イライラする
・眠りにくい
・夢をたくさ見る

といった自覚症状の人に使ったり、
心臓など循環器の既往歴がない人の動機や胸の苦しさに使うこともあります。
これは神経が高ぶると心臓が普段より余計に働いているためと考えられており、
高ぶりを抑えることで心臓の動きを緩やかにする事が影響していると考えられます。
またノイローゼや円形脱毛症にも効果があると言われています。

柴胡加竜骨牡蛎湯を構成する生薬に特徴的な生薬に竜骨と牡蛎があります。
竜骨は大型哺乳動物の化石とされており、
牡蠣はカキの殻を乾燥させたものです。
どちらもカルシウムを含んでおり、精神を安定させる作用があると言われています。
この生薬によりイライラや不安な気持ちを鎮めてくれると考えられています。

大黄は下剤的な作用や健胃的な作用がある苦味の強い生薬です。
漢方の世界では、苦味は胃などの内蔵の過剰な働きを鎮めるとされています。
また胃などがある体の中心部を鎮める事で精神を安定させる働きを持つと言われています。

大黄の配合が無い、ツムラの柴胡加竜骨牡蛎湯は胃腸がそれほど強くない人におすすめできると考えられます。
とは言え、薬が合っていれば大黄が入っていても下痢(泄瀉)することは少なく、総合的な効果を高めると言われています。
服用するときは、1週間か10日間を目処に服用し、効果の有無を判断すると良いそうです。

まとめ

柴胡加竜骨牡蛎湯は体格が良く、比較的体力もあるが、精神的に疲れやすい人に向いた漢方薬です。些細なことを気にしたり、心配で眠れなくなってしまう人に適しています。
竜骨や牡蠣などカルシウムが多く配合してあり、
それにより神経の高ぶりを抑えると言われています。
ノイローゼや円形脱毛症の患者様も使われることがある漢方薬です。

漢方薬や構成される生薬を勉強していくと、多くの漢方薬の作成された意図や
応用の使い方を覚えていくことができます。
患者様に適した漢方薬の使い方をお伝えできるよう勉強していきましょう。

 

 

参考にさせて頂いた資料&ホームページ
柴胡加竜骨牡蛎湯 添付文書各種
https://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
http://www.halph.gr.jp/
https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal_medicine/2017/043.html

  • この記事を書いた人

KUSURIno

処方薬と市販薬の医療情報サイト「Kusurino」を運営。 ドラッグストアと保険調剤薬局の経験を持つ現役薬剤師が薬のことをもっと分かりやすく、実用的な知識として提供します。

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