漢方薬

【漢方薬14】半夏瀉心湯の特徴と考え方

構成生薬 

生薬名 効果
黄連(オウレン) 解熱作用  消炎作用  健胃作用
黄芩(オウゴン) 解熱作用  消炎作用  止血作用
半夏(ハンゲ) 鎮吐作用  去痰作用  平喘作用
乾姜(カンキョウ)/【生姜(ショウキョウ)】 興奮作用  強壮作用  健胃作用/【発散作用  健胃作用  鎮吐・鎮嘔作用】
人参(ニンジンン) 興奮作用  強壮作用  強精作用  大補元気作用
甘草(カンゾウ) 緩和作用  止渇作用  止痛作用
大棗(タイソウ) 強壮作用   鎮静作用

半夏瀉心湯は10社販売しています。
各メーカーによって構成生薬の配合比率が異なるので注意が必要です。

半夏瀉心湯は7種類の生薬から構成される漢方薬となります。

またクラシエ製薬から錠剤の販売もあります。
細粒や顆粒剤が苦手という患者様には、クラシエさんの錠剤が選択肢になります。

販売製薬会社(医療用)と効能効果

半夏瀉心湯の効能効果は添付文書によると

みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症:
急・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

となっています。
小太郎漢方製薬株式会社さんと三和製薬株式会社さんの効能効果が若干異なっています。

コタロー
胃部がつかえ、悪心や嘔吐があり、食欲不振で舌苔や胃部に水分停滞感があり、
腹鳴をともなって下痢するもの、あるいは軟便や粘液便を排出するもの。

急性・慢性胃腸カタル、醱酵性下痢、消化不良、口内炎、つわり

三和
胃部がつかえて悪心や嘔吐があり、舌苔や胃部に水分停滞感があって、
食欲不振で、腹鳴を伴って、下痢又は軟便を排出するものの次の諸症:

急性・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、口内炎、消化不良、胃下垂、胃アトニー症、胃及び十二指腸潰瘍の軽症又は予後、つわり

となっており
上記2社は表記などは異なりますが、基本的に胃腸症状に使用される漢方薬です。

メーカーごとの味や剤形、特徴についてまとめます。

メーカー 剤形 その他の特徴
JPS わずかに甘みと苦味 顆粒 生姜
東洋 辛苦い 細粒 乾姜
オースギ やや辛くて苦く、後わずかに甘い 顆粒 乾姜
クラシエ はじめ甘く、後に辛い 細粒 生姜
錠剤あり
コタロー やや甘く辛い 細粒 乾姜
ジュンコウ わずかに苦く後にわずかに甘い 細粒 構成生薬他社より多い
乾姜
ツムラ わずか甘くて辛い 顆粒 乾姜
三和 苦く、やや甘い 細粒 乾姜
太虎堂 苦い 顆粒 生姜
本草 初めやや甘く、後にわずかに苦い 顆粒 乾姜

以上11種類(10社)の半夏瀉心湯があります。
メーカーさんによっては、構成生薬の内「生姜」を使うか「乾姜」を採用しているのかと違いがあるようです。

●乾姜と生姜違い
「乾姜」:腹冷痛、腰痛、瀉下効果があると言われている。生姜を乾燥させたもの。
「生姜」は乾姜より健胃、鎮嘔の効果が大きいとされる
 

クラシエさんより錠剤の販売があります。
細粒や顆粒剤が苦手とい患者様の選択肢になるかと思われます。

また、苦味が特徴的な漢方薬です。
苦味は特にコンプライアンスの低下につながる患者様は多いですので、
そういった患者様にも錠剤は紹介しやすい漢方薬となります。

・特徴と使い方

半夏瀉心湯は「黄連」と「黄芩」を中心とした「芩連剤(ごんれんざい)」と呼ばれます。
下痢・軟便、口内炎、胸やけなど胃腸の不調に広く用いられる漢方薬です。

黄連や黄芩は苦みが強い生薬です。
この苦みによって胃の症状を緩和していると言われています。
殺菌作用などもあるらしく、そういった胃腸障害にも使用することがあるようです。

これら2つの生薬は胃腸の症状を改善しますが、負担も大きいと言われています。
もともと胃腸の強い人が食べ過ぎにより起きてしまった胃もたれを改善するのを目的に作られた漢方薬のため、
一般的な病気や疲労で食欲がなく、食事を受け付けないというような症状を回復させるために使う胃薬ではありませんでした。
胃腸の弱い人でも使えるように胃腸の負担を軽くするために生姜・甘草・大棗などを配合し胃腸がそれほど強くない人
にも服用しやすくするために考えられたのが半夏瀉心湯と言われています。

また、漢方では胃部(心下)は自律神経に関係があるとされているため、胃の症状を改善する半夏瀉心湯は
自律神経の失調を安定させる効果があると言われています。
過敏性腸症候群などストレスなどの緊張が影響する胃腸症状に使われるパターンもあるそうです。
不眠やイライラなど食生活の乱れから生じる自律神経の不安定感を整えてくれるとも言われています。

口内炎と半夏瀉心湯

口内炎とは口の中や周辺にできる粘膜の炎症の事をいいます。
様々な原因がありますが、どれも痛みを伴います。
半夏瀉心湯はそんな口内炎にも効果があるとの研究データがあります。

半夏瀉心湯を構成する生薬の多くが
・抗酸化作用
・抗菌作用
・抗炎症作用
・鎮痛作用
・組織修復作用
これらの作用があることがわかってきました。

使用方法のポイントとしては、漢方薬を水やぬるま湯といっしょに口の中に入れ、30秒ほど含みゆっくりと飲み込むというものです。
ただ飲み込むよりもより効果的な使い方になります。

口内炎はパッチ剤や軟膏などの薬がありますが、舌の周囲や喉の周囲などにできた場合外用剤を使用するのは困難です。
また口腔炎や舌炎など薬の塗布が難しい症状にも半夏瀉心湯は効果を期待できると考えられます。
半夏瀉心湯が口内炎や口の中の痛みなどで処方されているといった情報を得たら、上記の使用方法をお伝えしてみてください。

まとめ

半夏瀉心湯は暴飲暴食などで疲れてしまった胃腸を回復してくれる漢方薬です。
疲労やストレスで食欲がない人の胃薬ではなく、
食べ過ぎ、飲み過ぎでもたれてしまった症状の胃薬として使われます。

また、体の中心である胃部を安定させることから自律神経を安定する効果もあると
言われています。
口内炎などの口の中の炎症への効果も期待されており、なかなかお薬が使い辛い症状にも
効果が期待できる漢方薬となっています。

漢方薬や構成される生薬を勉強していくと、多くの漢方薬の作成された意図や
応用の使い方を覚えていくことができます。
患者様に適した漢方薬の使い方をお伝えできるよう勉強していきましょう。

 

 

参考にさせて頂いた資料&ホームページ
半夏瀉心湯 添付文書各種
https://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
http://www.halph.gr.jp/
https://kanpousakamoto.jp/【漢方処方解説】半夏瀉心湯
https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal_medicine/2016/033.html
https://www.gsclub.jp/tips/18685

  • この記事を書いた人

KUSURIno

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