漢方薬

【漢方薬08】大柴胡湯の特徴と考え方

構成生薬

生薬名効果
柴胡(サイコ)解熱作用  消炎作用  鎮痛作用  鎮静作用 
半夏(ハンゲ)鎮吐作用  去痰作用  平喘作用
黄芩(オウゴン)解熱作用  消炎作用  止血作用
芍薬(シャクヤク)鎮痛作用  鎮痙作用  冷え症作用 
大棗(タイソウ)補脾胃作用  強壮作用 鎮静作用
枳実(キジツ)瀉下作用  健胃作用
生姜(ショウキョウ)健胃作用  鎮吐・鎮嘔作用  食欲不振作用  発汗解表作用  鎮咳作用
大黄(ダイオウ)瀉下作用  利胆作用  消炎作用  健胃作用
構成生薬・効果

各会社によって構成生薬の配合比率が異なるので注意して下さい。
(配合比は違いますが、同じような効果を示すと言われています)

「半夏」「生姜」「大黄」以外は同じ構成生薬となっております。
上記3生薬は書く会社によって配合量が違うようです。

また、「オースギ」「クラシエ」が錠剤を販売しています
散剤が苦手な患者様への選択肢になります。
医師によってはこの患者さんの症状に合わせて漢方薬を使い分けている場合があるので注意しましょう

販売製薬会社(医療用)と効能効果

大柴胡湯の効能効果は添付文書によると

がっしりとした体格で比較的体力があり、便秘の傾向のあるものの次の諸症:
胃炎、常習便秘、高血圧に伴う肩こり・頭痛・便秘、肩こり、肥満症

となっております。
また、コタロー製薬とツムラ製薬、三和製薬の大柴胡湯は表記が異なっており、

コタロー
肝臓部圧迫感、またはみぞおちが硬く張って、胸や脇腹にも痛みや圧迫感があり、便秘するもの、
あるいはかえって下痢するもの、耳鳴、肩こり、疲労感、食欲減退などを伴うこともあるもの。
高血圧、動脈硬化、常習便秘、肥満症、黄疸、胆石症、胆囊炎、胃腸病、気管支喘息、不眠症、神経衰弱、陰萎、痔疾、半身不随。

ツムラ
比較的体力のある人で、便秘がちで、上腹部が張って苦しく、耳鳴り、肩こりなど伴うものの次の諸症:
胆石症、胆のう炎、黄疸、肝機能障害、高血圧症、脳溢血、じんましん、胃酸過多症、急性胃腸カタル、

悪心、嘔吐、食欲不振、痔疾、糖尿病、ノイローゼ、不眠症

三和
胸やわき腹に圧迫感や痛みがあって胃部が硬く、つかえて便秘するもの。
あるいは下痢したり、耳鳴り、食欲減退、疲労などを伴うものの次の諸症
胆嚢炎、胆石症、黄疸、胃腸カタル、動脈硬化、高血圧症、脳溢血、半身不随、肥満症、

喘息、神経衰弱、不眠症、常習便秘、痔疾、肋間神経痛

表記は若干違いますが、消化器系に関する症状に多くの適応があります。

メーカーごとの味や剤形、特徴についてまとめます。

メーカー剤形その他の特徴
JPSわずかに苦味顆粒
大洋わずかに苦い細粒半夏:少 生姜:超多
オースギ甘く、苦い顆粒錠剤あり
クラシエわずかに苦い細粒分2と分3の包装あり
錠剤あり
コタロー苦い細粒大黄:多
ジュンコウ辛く、苦い顆粒半夏:少
ツムラ苦い顆粒
三和苦く、やや辛い細粒生姜:多
大虎堂わずかに苦い顆粒生姜:多
本草やや苦い顆粒生姜:微多 大黄:多
特徴一覧

以上12種類(10社)の大柴胡湯があります。
各メーカーさん、構成生薬や量はほぼ同じで「半夏」「生姜」「大黄」
の量が異なっています。
とくに「大黄」は大量に取ると下痢をすることがあるため、
「大黄」を多く摂ると下痢してしまう人は、「大黄」の少ないメーカーさんを選ぶと良いです。
(そもそも、「大黄」た全くだめな人は「大黄」が含まれていない「大柴胡湯去大黄」の使用も考慮してみて下さい)

また、錠剤を出しているメーカーさんも有るため、
粉が苦手な患者様にはクラシエ製薬さんやオースギ製薬さんの錠剤が候補になるかと思います。
消化器の症状に使用する事が多い漢方薬です

味は苦みや辛みのある漢方薬となっています。
味を気にする患者様は多いですので、そういった患者様にも錠剤は紹介しやすい漢方薬となります。

・特徴と使い方

大柴胡湯はダイエットにも使用される事がある漢方薬です。
筋肉質で、スポーツマンタイプの比較的体力がある人に向いていると言われています。
また、大柴胡湯と脂質改善薬を併用する事で、中性脂肪の減少効果が見られたというデータもあります。
大柴胡湯単体ではそのような効果は無いようです。

他には、便秘の症状や食欲不振、腹部膨満感を改善してくれる漢方薬です。
注意点としては、飲めば痩せる漢方薬ではなく、食事や運動をすることで
ダイエット効果が出ます。あくまで、脂肪燃焼の補助的な役割となるので交付する際は
養生法もお伝えするようにしましょう。

大柴胡湯の主薬は「肝(かん)」の失調を整える柴胡で「柴胡剤」と言われています。
「肝」は、身体の機能である「気(き)」や、「血(けつ)」の流れを整え、また「情緒」も上手に調整する機能を持ちます。
「肝」の働きが悪くなると、

「気」が滞ることで胃腸が正常に働かなくなり、過食や便秘などを引き起こします。
「血」の流れも滞ることで頭痛や肩こりなどの症状が生じます。
「情緒」の調整が上手くいかず、憂うつやイライラ、怒りが現れます。

漢方薬の世界では、過剰になると流れが悪くなったり、滞ると言われています
大柴胡湯は過剰になった物を体外に排泄する生薬が配合されています。

柴胡、黄芩・枳実は「肝」の失調を整え、枳実・半夏・生姜は「気」を巡らせるのを助けます。
大黄は滞った便通を改善し、芍薬と大棗は止痛・鎮痙の働きを持つと言われています。
構成生薬から見ると、大柴胡湯は余計なものを貯め過ぎている実証向けの漢方薬なのが良く分かります。

まとめ

大柴胡湯は体力があり、余計なものを体に溜め込み、流れが悪くなっている人に適している漢方薬です。
脂質改善薬との併用で中性脂肪を減らす効果があると言われています。

ストレスなどで消化器系が弱ってしまった人に向いてる漢方薬ですので、
体力がある程度あるのに、食べても休んでも体調が改善しないという人は試してみるのも良いかもしれません。

参考にさせて頂いた資料&ホームページ
大柴胡湯 添付文書各種
https://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
http://www.halph.gr.jp/
https://medical.tsumura.co.jp/support/knowledge/20230808_1.html
https://www.kigusuri.com/kampo/kampo-care/019-47.html

  • この記事を書いた人

KUSURIno

処方薬と市販薬の医療情報サイト「Kusurino」を運営。 ドラッグストアと保険調剤薬局の経験を持つ現役薬剤師が薬のことをもっと分かりやすく、実用的な知識として提供します。

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