胃腸薬

PPIの効果的な服用タイミング

逆流性食道炎や胃潰瘍など、胃酸の分泌を下げるお薬に
PPI(プロトンポンプ阻害剤)があります。

胃酸の分泌を下げることで、胃内の攻撃因子を低下させて
胃の症状を緩和します。

このお薬は基本的に1日1回で服用するおくすりですが、
患者様によっては朝に飲んだり、夜に飲んだりと服用タイミングが異なります。

今回は度のタイミングで服用するのがいいのか、
調べてみようと思います。

PPIの働き

胃では、壁細胞が胃酸を分泌しています。
塩酸を主体とする強酸性(PH1〜2)の物質で食べ物の消化を助けたり、
殺菌消毒、ミネラル分の吸収しやすくする働きがあります。

壁細胞には胃酸を分泌するプロトンポンプがあり、PPIは
このプロトンポンプを阻害することで胃酸の分泌を抑制します。

プロトンポンプは食べ物など胃へ刺激を受けると細胞膜上に移動し、
そこで胃酸の分泌を行います。
つまり、胃酸を分泌する時は細胞膜上で発現しており、
胃への刺激がなく、胃酸を分泌する必要がない時は細胞内にあります。

PPIは細胞膜内にあるプロトンポンプを阻害します。
そのため、理論上、食後など胃酸を分泌している時に服用するよりも
空腹時など胃酸の分泌があまりないタイミングで服用したほうが
より効果的と考えられます。

PPIの体内動態

次に実際のデータを見てみたいと思います。
主なPPIの薬物動態のデータをまとめてみました。

Cmax(ng/mL) Tmax(hr) AUC(ng・hr/mL)
ランソプラゾール(錠30mg) 食前 1,038±323 2.2±0.4 3,890±2,484
食後 679±359 3.5±0.8 3,319±2,651
ラベプラゾール(錠20mg) 食前 437±237 3.6±0.9 937±617
食後 453±138 5.3±1.4 901±544
オメプラゾール(錠20mg) 食前 406.2±372.4 2.3±0.5 1160±1583.1
食後 301.5±297.6 3.8±1.3 1055.7±1321.5
エソメプラゾール(20mg) 食前 422.3±180.6 2.2±1.0 612.8±374.8
食後 298.8±158.2 4.8±1.0 528.6±296.4

以上のように、ほとんどのPPIが食後に服用するよりも空腹時で服用するほうが
最高血中濃度は高くなる傾向にあります。

また、最高血中濃度到達時間も食後より、食前で服用したほうが約2時間ほど早く達成するようです。
食後は胃の内容物があるため排出速度が低下するため、最高血中濃度到達時間も
延長すると考えられます。

以上のことから、PPIは食事に影響を受けるものが多く、
データ上も食後に服用するよりも食前で服用するほうがより効果的と考えられます。

PPIの服用タイミング

ではどのタイミングで服用するのがいいのでしょうか?

より効果を出したいのであれば食前で服用するほうがいいと考えられます。
あとは日常生活でどのタイミングで症状が出るのかで考えるのが良いと思われます。

日中の胃の不快感や逆流性食道炎の症状を改善したいのであれば
朝食前や起床時の服用

夜間の胃酸分泌抑制効果を期待するのであれば
夕食前や就寝前の服用が良いと考えられます。

基本的に1日1回で服用するPPIですが、上記のように大きな効果が得られるのは半日くらい
であると考えるのが妥当です。
これはプロトンポンプを阻害しても次々に新しいプロトンポンプが発現してくるため
一度の服薬では新しく発現したプロトンポンプには対応できないからと考えられます。

その為、難治性の逆流性食道炎など24時間PPIの効果を維持したい人は1日2回での服用が
必要とされています。

また、PPIを頓服で服用するのはあまり効果は期待できないと考えられます。
PPIで阻害できるプロトンポンプは一部であり、
すぐに新しいプロトンポンプが発現してしまします。
だいたいですが、十分な胃酸分泌抑制効果を発揮するまで3-5日間かかるとの
データもあります。

よってPPIを服用する際は継続して服用する指導する必要があると考えます。

まとめ

今回はPPIの服用タイミングについてまとめてみました。

食後で服用する人が多いお薬のイメージでしたので予想外の結果となりました。
おそらく、胃粘膜保護剤やH2ブロッカー、消化酵素の影響で
胃の症状の薬は食後に飲むものとい印象が強くある為、PPIも食後に服用する
イメージなっていると思われます。

他のお薬との兼ね合いもありますが、
PPIをお渡しする際は患者様のお話をお聞きして、
適切なタイミングをお伝えしていきたいと思います。

引き続き勉強を続けて、情報をお伝えできればと思います。
なにかのお手伝いになれたら幸いです。

 

参考文献
・タケプロンインタビューフォーム
・パリエットインタビューフォーム
・オメプラールインタビューフォーム
・ネキシウムインタビューフォーム
・エソメプラゾール「サワイ」インタビューフォーム

  • この記事を書いた人

KUSURIno

処方薬と市販薬の医療情報サイト「Kusurino」を運営。 ドラッグストアと保険調剤薬局の経験を持つ現役薬剤師が薬のことをもっと分かりやすく、実用的な知識として提供します。

-胃腸薬