モサプリドというお薬を知っていますか?
先発品名、ガスモチンというお薬で慢性胃炎の
胸焼けや悪心、嘔吐に使用するお薬です。
今回はモサプリド錠の便利(?)な使い方について
紹介したいと思います。
モサプリドとは
モサプリド錠は消化管運動機能改善薬として使用されます。
規格は2.5mg・5mgの錠剤と1%の散剤があります。
最高血中濃度到達時間は0.8時間程度となっており比較的速やかに効果が出てくる
お薬です。
| 効能効果 | 用法用量 |
| 慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)
経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助 |
〈慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)〉 成人には、モサプリドクエン酸塩として1日15mgを3回に分けて食前または食後に経口投与する。〈バリウム注腸X線造影検査前処置の補助〉 成人には、経口腸管洗浄剤の投与開始時にモサプリドクエン酸塩として20mgを経口腸管洗浄剤(約180mL)で経口投与する。また、経口腸管洗浄剤投与終了後、モサプリドクエン酸塩として20mgを少量の水で経口投与する。 |
モサプリド錠は選択的5−HT4受容体アゴニスト作用を持ちます。
これにより消化管のコリン作動性ニューロンからのアセチルコリン放出を増やし
消化管運動を促進する効果があります。
そのため胃や十二指腸の運動促進作用や胃排出促進作用があると言われています。
副作用としては下痢や軟便などの消化器症状が多いお薬です。
プロトンポンプ阻害剤(PPI)との併用
モサプリドはプロトンポンプ阻害剤(PPI)の効果を助けてくれるとのデータがあります。
胃食道逆流症ではPPIが第一選択薬として広く使用されています。
しかし、近年ではPPI抵抗性の胃食道逆流症の発生が問題となっています。
「胃食道逆流症ガイドライン」ではPPI抵抗性胃食道逆流症に対して
モサプリドとPPIの併用を提案しています。
ラベプラゾール(PPI)とモサプリドの併用でCmaxとAUCが上昇したとの報告があります。
ラベプラゾール以外のデータはないようですが、
PPIとモサプリドの併用は薬物動態の面から効果的であることから、
別のPPIでも同じような結果が得られる可能性は高いと考えられます。
効果としてはモサプリドが消化管運動を更新することで胃排出速度が上昇します。
PPIは強酸性下では不安定になるため、速やかに小腸上部にPPIが移行することで
効果が高まると考えられます。
また、PPI抵抗性胃食道逆流症は胃排出能が低下している場合があります。
そのため、PPI単独で使用すると胃酸により不安定化し吸収が低下し作用が減弱すると
考えられます。
なのでPPI抵抗性の場合はモサプリドなどの消化管運動改善薬を併用すると
よりお薬の効果を発揮することができます。
胃炎以外の使い方
モサプリドが作用する5-HT4受容体ですが、上部の消化管以外にも
結腸や直腸にも存在することがわかっています。
そのため、モサプリドは消化管全体に作用すると考えられています。
なので、他の類似薬とは違い、
「経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処理の補助」の
適応を有しています。
つまり胃・十二指腸の運動改善だけでなく腸管運動亢進作用を持つと考えられます。
モサプリドを使用する際は胸焼けや悪心以外にも便秘の症状がある人にも適した
お薬だと考えられます。
高齢の患者様で胃の不快感と便秘の症状に悩んでいる患者様にぜひおすすめしたい
お薬となります。
まとめ
今回はモサプリドという成分についてその特徴をお伝えしました。
胸焼けなどで処方されることの多いお薬ですが、
PPIの効果を助けたり、腸の運動亢進作用による便秘の解消にも
役立つお薬でした。
特徴を知ることでお薬の選択の幅や服薬指導の伝え方に幅を持つことができます。
しっかり勉強してコンプライアンスやアドヒアランスの向上に役立て行きたいと
思います。何かの役に立てば幸いです。
参考
ガスモチン錠添付文書
日経DI:2017.09