片頭痛薬 漢方薬
片頭痛治療薬には漢方薬も使用されます。
2000年ころにトリプタン製剤が発売されてから、急性期の片頭痛の治療はトリプタン製剤を用いることが多くなりました。
しかし、漢方薬も経験的に使用されてきた実績があり予防的に服用するには有益であると考えられています。
2021年の「頭痛の診断ガイドライン」でも弱い推奨となっており、エビデンスの確実性は「B」となっています。
普段、トリプタン製剤やNSAIDsを使用している患者様であまり症状に改善が見られない人の選択肢になると思われます。
片頭痛の予防にはいろいろな漢方薬が使われており、片頭痛治療薬と違いこの症状にはこの漢方薬といった決まりがあります。
当初は漢方薬を見ても、この片頭痛にはなんでこの漢方薬なんだ?とハテナが付くことが多かったと記憶しています。
今回は代表的な漢方薬をまとめて効果の違いや対象のとする頭痛を再度確認していこうと思います。
以下、基本的な使い方です。
漢方薬の基本は1種類を服用して、1-2か月様子見ていきます。
2種類以上服用することも可能ですが、生薬がかぶることで起こる、副作用や相互作用などを考えて
できれば漢方専門医を紹介したほうが言いとされています。
それでは代表的な漢方薬を5つ詳しく見ていきたいと思います。
呉茱萸湯
漢方薬の特徴
お腹を温めることで「気」や「血」のめぐりを改善する漢方薬と言われています。
温めることで冷えを取り除き、吐き気なども改善すると言われています。
処方される頭痛の種類
血圧が低く、冷えがある人。吐き気をともなう頭痛
その他の特徴
・血管性頭痛でも強い痛みのものに高い改善を認める
・効果発現は2週間以内が多い
・早期に効果が期待できる
・緊張型頭痛に対して76.7%に有効性
・慢性頭痛において、偏頭痛、緊張型頭痛にかかわらず高い有効性を示す
・偏頭痛の中でも視覚前兆を伴う症例に対して有効性を示すと報告あり
・慢性期は定期で服用
・急性期はトリプタン系や鎮痛剤と同様に頓服的に服用
・他の鎮痛剤との併用問題ない
・独特なえぐ味あり、継続難しい人もいる
手足の冷えやすい中等度以下の体力のものの次の諸症:
習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気衝心
【ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒添付文書より抜粋】
桂枝人参湯
漢方薬の特徴
胃腸薬の「人参湯」に桂枝を追加した漢方薬です。
お腹が冷えて下痢をする人や食欲不振の人に使われます。
上の方に登ってきた「気」を下げる効果のある桂枝が配合されることで、頭痛や動機にも効果を示します。
処方される頭痛の種類
体に「冷え」があり、胃腸症状がある頭痛
その他の特徴
・64.1%の改善率
・胃弱傾向の慢性頭痛者に使用
・浮腫、血圧上昇、低K血症避けるため、1日2包での服用を推奨
・3包にカンゾウ3g含有
・釣藤散より効果あったとのデータあるが、有意差はない
胃腸の弱い人の次の諸症:
頭痛、動悸、慢性胃腸炎、胃アトニー
【ツムラ桂枝人参湯エキス顆粒添付文書より抜粋】
五苓散
漢方薬の特徴
体の中に滞っている「水」の流れを良くし、循環を改善する漢方薬です。
口の乾きや尿量の減少がある時に適していると言われています。
むくみや下痢、吐き気などにも使われる漢方薬です。
処方される頭痛の種類
天気など気圧によって生じる頭痛
その他の特徴
・細胞膜にあるアクアポリンを介して水分代謝を行うとされている
・脳浮腫などの血液透析患者の頭痛改善のデータあり
・偏頭痛、緊張型頭痛、二次性頭痛と頭痛全般に広く用いられる
・基本は定期服用
・低気圧で発生しやすい頭痛には普段の服用量に追加、もしくは頓服で使用する
口渇、尿量減少するものの次の諸症:
浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病
【ツムラ五苓散エキス顆粒添付文書より抜粋】
葛根湯
漢方薬の特徴
体を温めて発熱を助けることで免疫力を高めて風邪を改善すると言われている漢方薬です。
発熱は免疫を高める効果の他に、全身の血流を改善する効果があります。
これにより肩から首にかけての血流を改善し頭痛に効果を示すと言われています。
処方される頭痛の種類
肩こりを伴う頭痛
その他の特徴
・頭痛50%、頭重60%で改善見られるが投与期間が不定だったり信頼性は低い
・緊張型頭痛で肩こりを認める時に服用。頓服or朝1回の服用推奨
・麻黄含むため、高血圧(コントロール不良)、頻脈性不整脈、虚血性心疾患、前立腺肥大には慎重投与
・胃部不快感や不眠のSEあり、これらの疾患がある人も慎重投与
・一部の漢方薬には適応欄に頭痛の記載が無いので注意
自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
【ツムラ葛根湯エキス顆粒添付文書より抜粋】
釣藤散
漢方薬の特徴
ストレスなどにより「気」や「血」が上昇する人向けの漢方薬です。
頭に「気」や「血」が登ると血圧が上がったり、頭痛がすると言われています。
顔が赤くなったり、目が血走るような人にも効果があります。
処方される頭痛の種類
血圧が高く、耳鳴りやめまいがある頭痛。
わりと高齢者向け
その他の特徴
・慢性頭痛には74.1%の改善率
・慢性緊張性頭痛には70%以上の症例で改善したとのデータあり、ただし、やや検証状況にバラツキある為評価レベルは低い
・頭蓋内に器質的疾患がある場合は80%以上で効果を感じられた
・脳血管障害の慢性頭痛にも70%以上で効果を感じられたとのデータあり
・4-6週で7割近くに効果を認めた
・動脈硬化傾向の慢性頭痛や緊張型頭痛に定期服用
・胃が弱くても使える
慢性に続く頭痛で中年以降、または高血圧の傾向のあるもの
【ツムラ釣藤散エキス顆粒添付文書より抜粋】
その他
紹介だけにしますが、これらの漢方薬も予防的に投与されることがあります。
3ヶ月程度の服用で効果の有無を判断するそうです。
また、トリプタン系との併用により、トリプタン系の使用回数の減少も見られたそうです。
●当帰芍薬散
→月経周期関連の頭痛
●当帰四逆加呉茱萸生姜湯
→強すぎる冷えからくる頭痛
●加味逍遥散
→月経周期関連・更年期障害からくる頭痛
授乳婦・妊婦の服用について
片頭痛は妊婦さんにも起こるため、しばしば妊婦さんにも処方されることがあります。
今回紹介した漢方薬は基本的には妊婦さんも服用可能ですが、
注意が必要な漢方薬があります
・葛根湯
・桂枝人参湯
この2つの漢方薬です。
これらの漢方薬は健康な妊産婦なら問題ないですが、妊娠高血圧症をきたしている時は注意が必要です。
葛根湯に含まれる「麻黄」という成分は血圧を上げる効果があるので注意が必要です。
また、桂枝人参湯は「甘草」を含むため、浮腫みや血圧上昇に注意が必要となります。
まれではありますが、頻脈傾向の妊産婦にも動揺などの副作用が起きることがあるので注意してください。
いっぽう、授乳婦さんは問題なく服用できるとされています。
ですが、一部の成分は母乳中に多少は移行することがあります。
効果や副作用が起こるような濃度では無いですが、薬のアレルギー等がある場合は注意が必要です。
とくに生薬は食べ物としての側面を持つため食べ物アレルギーがある場合、交差反応を起こす可能性があります。
漢方薬を服用中に授乳をした際、お子さんに湿疹などの症状が出るようなことがあれば
おくすりのアレルギーの可能性があるので注意が必要です。
https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_2021.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnkm/2/1/2_08/_pdf/-char/ja